ぺんぎんノート

momoiro_tjのノート (旧:システムオペレータの週末)

今橋朗・徳善義和『よくわかるキリスト教の教派』を読んだ

本書はAmazonで検索すると1996年出版と、2017年出版(新装版)の2種類がヒットする。 私は古本で安く済ませたかったので、1996年出版のものを読んだ。 おそらく新装版のほうが最近の教派の状況についても記載されているのかもしれないが、 まあ大筋は変わらないだろう、と考えている。

200ページ未満で、本文が140ページほど。前半が教派の紹介、後半が著者二名による対談となっている。 また資料と索引も豊富で、巻末には教派の系譜図もついている。もっぱら教派の資料集という感じだった。 本文は2日で読み終わり、いまブログを書いている。早い人だと数時間で読み終わるだろう。

少し前に読んだ『福音派』でキリスト教の教派に興味を持ち、本書を手に取った。 momoiro-tj.hateblo.jp

文字が大きくページ数も少ないが、教派ごとの特徴が簡潔に述べられておりわかりやすかった。 プロテスタント主流派・福音派という分類については述べられていなかったのが残念だったが、 メソジスト教会アドベント教会等、名前は聞いたことあるが どういう教派なのかわからないものについて知れてよかった。

イギリス国教会または聖公会は、世界史で習うとあまり目立たないが、 意外とイギリス国教会から端を発する教派がいることに驚いた。 メソジスト教会などは最たる例だと思う。

ただ本書で各教派にどういう特徴があり、どのくらいの勢力なのか を完全に理解することは難しい。例えば細かい教義の差などはわかりづらかった。 そのあたりは自分で調べたり、神学的な知見をもって理解する必要があるだろう。

日本の教派にも言及されており、意外とよく聞く大学などが キリスト教系のミッション大学であることに驚いた。 遠い国の話だと思っていたが、結構身近にキリスト教はあることに気づいた。 もう少し勉強して、教派ごとにどういう特徴かを人に語れるくらいになりたいと思う。

川北稔『砂糖の世界史』を読んだ

京都の秋の古本まつりで、ネット上でしばしば話題になる本書を手に入れたので、早速読んでみた。

岩波ジュニア新書だけあって文字サイズは大きく、一文一文が優しい口調だった。普通の新書に読み慣れると、逆に読みづらいと感じることが多々あったが、あとがきにあるねらいにそって記されているので、あたかも世界の歴史を一本の線にそって歩いてきたかのように感じられ、ネット上で称賛されているように世界史の入門書としては評価されて然りだと思った。

砂糖というテーマであるから故か、貴族などの生活だけでなく、当時の一般市民の生活まで高い解像度で示されていて興味深かった。世界の歴史としては、特に奴隷制度の歴史に関わるので南北戦争キング牧師などの関わった公民権運動などの理解の助けにもなった。最近で言うと『福音派』での人種隔離政策についてなどともつながりを感じられた。

古代、中世の人々の生活の指針としては、まず宗教があり、次に生活があると思う。なので、個人的には宗教について歴史を紐解くことが世界史理解に必須だと思うが、砂糖などの食べ物など文化の変遷について追うのも面白いと思った。

加藤昭吉『計画の科学2』を読んだ

『計画の科学』の続編であり、大規模プロジェクトなどの実際の計画やプロジェクト管理に焦点を当てた内容となっていた。中にはPERT手法の応用的な内容もあり、具体例も多く比較的分かりやすいのではないかと思う。

ただ手法の解説というよりは、プロジェクト管理、大規模プロジェクトの計画に関する思想や考え方について論じている印象が強かった。PERTも、抽象化して考えると、プロセスやマイルストンなどを時間軸と関係軸で整理したものであると捉えており、本書を読むよりはシステム的な思想を学ぶほうが、もしかすると理解が深いかもしれない。

具体例として面白かった点としてNHKでは出演者の出演情報などの情報をコンピューターで管理できるようにするSMARTというシステムがあり、その中にはPERTの概念が反映されているということだ。アメリカのロケット開発やドイツのアウトバーンの建設計画など巨大なプロジェクトが例として多く挙げられているが、そんな中で日本のNHKの例があり、非常に興味深かった。

加藤昭吉『計画の科学』を読んだ

本書らPERTによる計画の手法を説明したものである。PERT基本情報技術者試験などでも問題が出題されるほど有名だと思うが、実際に使ったことはなかったので、具体的な使い方が知りたくて読んだ。古い本なので言葉遣いが古かったり情報や事例も古かったりするが、数学的な説明は少なく平易な言葉で説明されており分かりやすかった。

自分の仕事でも使えるかもしれないと思ったが、1ヶ月程度の案件ではあまり意味がなさそうだとも感じた。なぜなら一ヶ月くらいならクリティカルパス上の作業がほとんどになってくると思うからである。半年や年単位で進めるような大きい仕事の場合には、クリティカルパス外の作業も出てくると思うので力強い味方となりそうだと思った。

また、PERT/COSTなど応用的な使い方については初めて知った。確かにPERTは時間軸でしか考えていないため、リソースの問題は解決できない。PERTでヒト・モノ・カネの資源についても管理できると便利だと思う。また、三点見積もりという考え方も、いままではなんとなくやっていたと思うが、確かに有効な手法である。知らなかったことと言えば、マンハッタン計画などのプロジェクトでもPERTが使われていたということには驚いた。

本書は続編『計画の科学2』が出版されており、そちらも手に入れているので続けて読みたいと思う。

Raspberry Pi 3 Model B+でハマった話

せっかくLPIC3 300とったので、実際にサーバ立ててみようと思い、 久しぶりにラズパイを引っ張り出してきて設定していたのだけれど、 teratermからraspberrypi.localで接続するもすぐ切断される。 この問題で3日くらい使ったので備忘録として残す。

環境は、Raspberry Pi 3 Model B+とPCをクロスケーブルPear to Pear接続。

結論としては、初期設定のままだとraspberrypi.localを使った リンクローカルアドレスでの接続だと不安定らしい。

以下の記事を参考に設定したところうまくいった。 自分の環境の場合DHCP用のIPv4ネットワークを追加しなかったが、今のところうまく動いている。

Raspberry Pi で link local 接続が断続的に切断される #RaspberryPi - Qiita

最初はラズパイ自体がダウン(リセット)していると思い、電源問題を疑って調べていた。 わざわざ電源を買いなおしたのだがあまり効果がなかった。 IPv6のリンクローカルアドレス接続のタイムアウトを疑い始め調べていたところ 上記の記事を見つけて解決した。

理屈はよくわからないが、IPv6の設定だけではだめで、IPv4もリンクローカルアドレス設定しないとダメ、 ということなのだろうか。

加藤喜之『福音派』を読んだ

宗教と政治という2台テーマについて知るのに有効だと思い手に取った。いつもは古本だが今回は新書で購入した。内容は、アメリカ現代史をざっくり概説したうえで、キリスト教福音派の活動を解説する、とても興味深いものだった。現代のアメリカを知るのに必須と言っても過言ではないかもしれない。

福音派の教義としては、終末論を中心とする内容で、聖書の内容を悲観的に捉えている印象を持った。恐怖の上に成り立つようなもののように感じた。日本の仏教における思想にも似ているところがあるようにも思える。こうすると地獄に落ちる、こうすると天国に行ける、という分かりやすい構図なので理解されやすいのかもしれない。地獄というネガティブを前提としているので、過激な行動にも発展しやすいのかもしれない、と思った。

日本では人種問題などは学校の社会や道徳の授業で習う程度だが、アメリカでは肌で感じるレベルの問題なのだろうと感じた。日本だとどういう問題を肌で感じているかぱっと思いつかないが、例えば電車でのマナー問題やモバイルバッテリー問題など、日常のニュースで見るようなレベルなのだと思う。福音派はそういう諸問題について組織だって政治に関与していった、ということを理解した。日本ではあまり馴染みがないが、宗教が政治に根深く関与しており、その力をうまく使うことでこんにちの大統領達が成り上がっていったのだ、と本書には書かれていたと理解している。三角関数は社会人になったら使わない、くらいで人種問題も捉えていたが、アメリカではそうではないらしいことに驚きを隠せなかった。

久しぶりに新書を定価で購入したが、それに見合う内容だった。アメリカの今を知ることができたようでよかった。アメリカの歴史についても今後深めて行きたいと思う。

シャンカラ『ウパデーシャ・サーハスリー』を読んだ

仏教を学ぶ上で、インドの歴史、ひいてはインドの思想やヒンドゥー教を無視することはできない。インドの著名な哲学者の一人シャンカラの著書である本書を読んで、インド的な思想について造詣を深めたいと思った。

そんな意欲とは裏腹に、本書の内容は難しすぎた。読んでいてもほとんど内容が入ってこなかった。ブラフマンアートマンは合一で肉体とは別である、それくらいの認識しか得られなかった。悔しい。それだけインドの根底に流れる思想は奥深いということなのだろうか。

そんな中でなんとなく感じたことは、仏教の空の思想などは、異なる宗教でもやはりインドの哲学のひとつなのかもしれないと思った。禅でいう瞑想のように、熟睡状態や死の状態を一つの状態として考え、解脱を目指す。うまく言えないが、仏教と似ているな、と思うところは所々にあり、おもしろかった。

本書を読んで、そもそも仏教についての理解がまだまだだなと思った。空の思想に助けられ、仏教すごいと思ってハマっているが、まだまだ学ぶべきことは多そうだ。